WSJシニアコラムニストが語る『株主は心配し始める時が近い可能性』

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WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)市場担当シニアコラムニストのジェームズ・マッキントッシュ氏は、『株主はファンダメンタルズが良好に見える際に慎重になりにくいが、心配し始めるべき時が訪れているかもしれない』と指摘している。

現在、世界経済のファンダメンタルズに懸念材料はなく、景気後退も急激なインフレ兆候も見られない。マッキントッシュ氏はこのような中での最大のリスク要因は市場にあると語っている。歴史的に見て、20%近い相場の下落は景気後退の時と同じくらい景気拡大時にもあるからだ。

景気拡大時に相場急落が起こるには大きく分けて2つある。

1つは読み間違い。1998年、ロシアの債務不履行による経済危機が差し迫っているとの見方が広がり、S&P500は19%も下落した。ところが、経済危機は起きなかった。2011年、米国債の格付けが引下げられ、ユーロ圏が債務危機に陥った際も1998年と同様の事態となった。また、1978年にも投資家が景気後退が差し迫っていると予想し株価は下落したが、1980年まで景気後退は起こらなかった。

現在、このような読み間違いが起こりやすい状態にあるとマッキントッシュ氏は言っている。ニューヨーク連銀の予測では、1年以内に景気後退に陥る可能性が9%。この数字は過去の景気後退終結以来で最高値であり、過去8回のうち4回の景気後退開始時と同様の確率だ。

2つ目は具体的な引き金となる要因なしに上昇相場が反転することだ。このケースの例を挙げると、1987年10月にS&Pは約30%下落し、1966年と1962年にはそれぞれ21%、28%下落している。例に挙げた3つの年は現在と同様、上昇相場にあり、株式と債券市場はほとんどの指標で割高をつけていた。

もちろん、多くのアナリストや市場関係者が言うように、米国を筆頭に世界経済が順調に推移し、業績面からの懸念も少ないことから、株価の上昇は続く可能性もある。だが、マッキントッシュ氏の指摘するように、歴史の示す過去の経験則も否めない。上昇が続いていても、リスクがあることは頭に入れておくべきだろう。

参考記事;http://jp.wsj.com/articles/SB11397365582149163279204583500151128586888