黒田日銀総裁 『現状では出口戦略進められず』
黒田日銀総裁は、当面現状の金融緩和政策を粘り強く続けるしかなさそうだと記事は伝えている。
2016年9月に現行の長短金利操作付き量的・質的緩和を導入した際の前日は1ドル=102円程度。直近の円相場は104円台に突入し、その後若干円安に推移しているとは言え、依然として企業の想定為替レートを下回って推移している。
筆者の考えでは、日銀が金融緩和の出口戦略を議論するには『企業の想定為替レート + 10円の円安が必要』だと思っている。昨年の英国の動きを見ていても想像出来るとおり、出口についての議論が始められると約10円程度の円高が進行する可能性があるからだ。
となると日本の場合では現在、想定為替レートが109円後半と言われていることから、出口戦略を進めるには1ドル120円程度でなければ、企業業績を圧迫する可能性があるだろう。
トランプ政権が鉄鋼・アルミに関税を課すことを明らかにしたり、米中貿易摩擦の問題が浮上している今、米国の長期金利も3%から遠のいており、日米金利差からの一方的な円安には進みにくい。
日銀からすると、それでもなお現行の政策を続け、円買い圧力が弱まるのを待つしか手段がなさそうだ。