日銀のマイナス金利政策・ETF買いは検討が必要

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31日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、日銀・黒田東彦総裁は『現時点で出口の議論はミスリードになり市場にマイナスになるとして、現行政策の見直しを検討するには時期尚早』とコメントした。今回の発表で、日銀は現状維持を改めて示したかたちだ。

ここで振り返って頂きたいのが、日銀の政策により日本の金融セクターは大打撃を受けている点だ。金利の低下により、収支の改善が難しく、ここ数日でもメガバンクが相次いで人員削減や店舗統合を打ち出している。債券の利回り低下から、保険会社や証券会社も利を削っている内容の決算発表が多い。日経平均が連騰しているにも関わらずだ。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏は指摘している。『日銀が年間80兆円の長期国債を買い入れることに、今回、片岡剛士審議委員は反対したが、長期国債買入れを増やせとまでは言えず、YCC(イールドカーブ・コントロール)全般を否定するほどの強力な論陣を張ることはできなかったのだろう。現行の執行部には株式市場に精通した人がいない。その為リフレ派を入れることに目が行きすぎて人選が偏ってしまったのではないか。』と分析している。

株価が上昇を続けるなか、黒田総裁は現行維持を発表し、年間6兆円のETF買いが必要ないとは言わなかったが、『実際の買い入れ額は変動する』と発言している。これまでETFを買い続けても、物価見通しを下方修正しており、そろそろ費用対効果について考えているのだろうか。

健康的な株価の上昇には、心臓部とも言える金融が引っ張っていくのが常だと考えると、日本の株価上昇は日銀の政策によって歪められているのかもしれない。

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